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労働基準法と派遣法 その69

労働基準法15条1項及び労働基準法施行規則5条により、労働条件は文書(雇用契約書または労働条件通知書)により契約締結時に労働者に明示することになっています。
また、派遣法34条及び派遣法施行規則25条も派遣就業条件の明示を派遣就労開始前までに派遣労働者に文書(就業条件明示書)ですることとされています。
派遣会社は派遣先に対し、派遣スタッフによる業務を事故なく遂行をするという派遣契約上の義務を負っています。従って、スタッフが故意または重過失により派遣先のお金を紛失した場合は、派遣会社が派遣先に対し債務不履行(民法415条)による損害賠償責任を追うことになります。
スタッフも派遣会社に対し、雇用契約上の義務として派遣先での業務遂行に当たり、事故のないようにすることが求められています。従って、派遣先で、不注意によりお金を紛失し、報告せずに隠していたのは、派遣会社に対する契約違反として、損害賠償責任を負うことになります。
仮に、民法628条が要求している「やむを得ない事由」が無いにもかかわらず辞めるとしたら契約違反となるわけですが、派遣スタッフの最低限度のモラルとして、少なくとも、1)できるだけ時間的に余裕のある退職の申し出をすること(派遣元会社が代替要員を準備できるだけの合理的な時間)、及び2)仕事の引継ぎをすること(派遣先会社の通常の仕事に支障が生じない程度の引継ぎ)の2点をしっかり実行して欲しいものです。
これにより、派遣先会社や派遣元会社に対する迷惑が減少し、トラブルは小さくなるでしょう。このように、自分の都合だけでなく、派遣先会社や派遣元会社の都合も考えた辞め方をすることにより、後で不安になるようなことも無くなるでしょう。
また、派遣会社契約上の時給を守るという趣旨を言っているので、派遣スタッフ契約が不当に変更されるおそれはありません。
従って、ご相談者の時給が不当に減額されることはないので、雇用契約を解除するだけの「やむを得ない事由」には当たりませんから、法的には契約を一方的に解除することはできません。


契約の解消は例外的に認められるに過ぎないものです。中途退社は、有期雇用契約の一方的な解消に当たり、「やむを得ない事由」がなければ認められません(民法628条)。従って、「やむを得ない事由」がなければ契約不履行となり、スタッフに損害賠償責任が生じます(民法415条)。 契約は守らなければなりません。
派遣先の対応も含めて、嫌がらせの事実関係を整理して、派遣元責任者に相談してみてはいかがでしょうか 。
派遣会社も派遣労働者からの苦情に対し適切な処理をすること、派遣先との連絡調整をすること等が求められています(派遣法31条、派遣元指針第2の3、5)。
就業規則上は可能だとしても、アルバイトをすることにより疲労が重なり、派遣の仕事が十分にできないとかミスが多くなる場合は、派遣会社から雇用契約違反と言われても弁解の余地がありません。
他の仕事をしていることを言い訳にすることはできないのです。
派遣元の担当者が「週に一日くらい我慢してくれ。」と言われた場合、法律等が求める義務を尽くさず無責任な対応と言わざるを得ません。
 派遣労働者のような有期雇用契約の労働者には、民法628条が適用されます。それによれば、「やむを得ない事由」があれば労働者は労働契約を途中で解除することができます。労働者本人や家族の病気や怪我などが「やむを得ない事由」に当たります。体調を壊したということですが、医師の治療や休養が必要であれば、これに当たるでしょう。
また、民法628条により契約を解除した場合には、責任を問われることは有りません。
派遣先の正社員の対応が不適切で仕事がやりにくいという問題も就業環境の問題と言うことができます。従って、上記の派遣元や派遣先は、派遣労働者のために諸々の措置を講ずる必要があるわけです。


雇用契約を結んだ以上、契約期間内は、スタッフは働く義務があり、派遣会社スタッフに仕事を提供し賃金を支払う義務があります。また、ご相談者の場合のように派遣会社の見通しの悪さにより仕事がなくなってしまった場合は休業状態なので、派遣会社スタッフに当初の契約と労働条件が同程度の他の派遣先を照会するまでの間、休業手当を支払わなければなりません(労働基準法26条)。
しかし、スタッフの休業手当は、平均賃金の60%以上に過ぎません。従って、生計を維持することは困難でしょう。
スキル不足のスタッフを派遣した場合、派遣会社は派遣先会社から契約違反として損害賠償を請求されてもやむを得ません。
スタッフと派遣会社雇用契約を結んでいます。スタッフは登録する時、職歴、経歴、技能、資格など、雇用契約を結ぶに当たって「重要な事項」を正確に申告する義務があります。詐称の職歴を前提に派遣されたとのことですので、「職歴」を偽った行為は重要な事項についての詐称といえ、契約違反(民法415条)になります。社会的に相当な因果関係の範囲で損害賠償義務を負うことになります。
一旦結んだ雇用契約について、就業直前になって契約条件の不利益変更を提案するのは、信頼関係を損なう行為で問題です。しかし、雇用契約の当事者は、派遣スタッフと派遣会社であり、派遣先会社は、その雇用契約に干渉できる立場にはありません。
つまり、派遣先の時給引き下げの提案は、スタッフにとっては法律上の意味がないものなので心配はいりません。派遣先のそのような提案は、派遣契約の変更に関する提案であって、派遣契約の当事者である派遣会社と派遣先会社との間で検討されるべきことです。
2つ以上の事業所で仕事をする場合は、労働基準法32条の労働時間及び35条の休日は通算され、アルバイト先の会社は時間外労働もしくは休日労働の割増賃金を支払う責任を負うことがありますので、それらの点も注意が必要です。
逆に、派遣の仕事をしているから、アルバイトを適当にやってもよいと言うことにもなりません。従って、あまりお勧めできることでは有りません。よく考えた上で結論を出しましょう。
以上のように、派遣スタッフの行うべき業務は雇用契約書や就業条件明示書(派遣法34条)に記載されており、また派遣先と派遣会社との間の派遣個別契約書にも定められています。これは、人材派遣の本質が「人の派遣」ではなく「能力の派遣」派遣会社は派遣先に対し派遣契約を守るようにキチンと要求すべきでしょう。


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